Vol.7 (2006.2.8)
【如月・立春】  眼 の つ け ど こ ろ

「眼のつけどころ」には、個人差があり、まさに無限の見方があることは否めません。どこを見るのか。何を見るのか。「見る」のか、「観る」のか、「看る」のか、「視る」のか、「診る」のか。

それでは、「眼のつけどころ」を「物の見方」と置き換えます。「物の見方」となると、さらに個性があらわれます。物には、眼に見える物と眼には見えないものがあります。

私は眼に見えない物を探ることこそが、「物の見方」であり、「眼のつけどころ」につながるものと考えます。

勿論、スポーツの見方にもいろいろあります。それはスポーツに対するそれぞれの立場、すなわちスポーツとの向き合い方によって随分違ってくるはずです。例えば、「競技力を競うスポーツ」「健康のために行うスポーツ」「見て楽しむスポーツ」「応援・支援のスポーツ」などがあります。仮に、上述の方々が集まり討論会が開催されたとしても、余程有能なコーディネーターでなければ、意見をまとめることは困難であることは想像できるでしょう。それくらい、物の見方(感じ方)は複雑であることを認識しておかなければなりません。

そこで、今回はスポーツ、特に陸上競技の指導者として選手の動きを見ることに限定させていただき、私がどこにポイントをおいて選手の動きを観察しているか述べてみたいと思います。そういうことになると、やはり「観る」ということになりましょうか。

私自身、陸上競技を中学1年から始めましたが、本格的という言葉を使っても語弊がないと言えるのは、大学入学後かもしれません。その後35年以上の間、自分の内側に存在する物の見方は微妙な変化を繰り返しながら、現在の見方を形づくってきたわけです。当然、今後も変わっていくということを前提に、現状の考えとして話を進めていきたいと思います。そのような中で、どのように動いているか、どのくらいの速さで動いているかはわかりますが、どれくらいの力を出しているかということの想像は厳しいものがあります。あくまでも、動きとその速度を観る、ということに限定していきたいと思います。

当然のことではありますが、このようなことを表すと読者の方々からは、私はそんな物の見方はしていない、眼のつけどころも違う、などのご批判をいただくことになると思います。しかし、私個人としてはご批判いただくことにより、新たな知見として取り入れていきたいと思いますので、御意見等は遠慮なくお寄せください。

また、今回のテーマを書くにあたり、私自身、すなわち陸上競技指導者としての、陸上競技指導における物の見方の整理になり、勉強になったことを申し添えておきます。

それでは私が陸上競技を見る(観る)際の「眼のつけどころ」の始まり始まりです。


【走】
1 接地脚の足の裏(足底)の踵から足先方向への効果的な移動
2 接地時のふくらはぎの位置
3 接地中の身体の重心の水平移動
4 自由脚(地面から離れた脚)動きの方向と速度
5 骨盤の位置と向き
6 骨盤を効果的に運ぶ下肢の軸
7 骨盤に乗った上半身の軸
8 下肢の動きを邪魔しない腕振り
9 疾走中のリズムとバランス
【障】
1 踏切時と飛越時と着地時の重心位置
2 骨盤の向き
【跳】 1 走高
(1) 高く飛び上がるための範囲内での助走スピード
(2) 水平スピードを高く跳びあがるために方向を変えるための壁つくり
(3) 重心位置が最も高くなったときの、手足(腕脚)の位置 
2 棒高跳
(1) あふり動作ができる範囲内での助走スピード
(2) 振り込み式のベリーロール(左脚踏切)の踏切をイメージしポールを左脚、身体を右脚と見たてた踏切動作
(3) 鞭運動で物が投げ飛ばされるような、ポールの反発による、身体の物体化
(4) 重心位置が最も高くなったときの、手足の位置
3 走幅跳
(1) 助走スピード
(2) 踏み切った直後のスピード
(3) 空中における重心の位置
(4) 着地の際の重心の位置と足先の位置
4 三段跳び
(1) 助走の余裕
(2) 3回の踏切における重心位置とスピード
(3) 全身の関節の時間差利用(振り込みなど)
(4) 着地の際の重心の位置と足先の位置
【投】
1 投擲物の操作
2 骨盤の位置と向き
3 骨盤に乗る上半身の軸の太さ
4 離手の瞬間の身体動作


本当はもう少しあるのですが、あまり多くなってもと思い、省略させていただきました。また、投擲については、長島・安田コーチに任せきりで、最近指導する機会がめっきり減ったので、種目ごとに書いてありません。ご了承ください。

読者の皆さんに、「これではあまりにも抽象的すぎてわからない」と言われそうなので1つだけ例をあげます。【障】の部分にお戻りください。「ハードルの踏切〜飛越〜着地の重心位置」について具体的に述べてみます。

「重心の高さを変えずにスムースな走と飛越を心掛けるために、踏切と着地では胴(頭)・脚・腕を高く、飛越の最高点では胴(頭)・脚・腕は低くなっているかどうかを観る」ことが、ハードルにおける“眼のつけどころ”ということになります。その他の具体的な眼のつけどころは紙面の都合で省略させてください。

ちなみに、JUVYでは練習に際し【アーチ】【受け止め】【壁押し】【用水路】【柔箱】【軸】【コア】などのキーワードを確認しあうことで、選手と指導者との連携を深め、効果を期待しています。会員以外の方でこのHPをご覧になり興味をもたれた方はどうぞJUVYにご入会ください。

結びになりますが、このような「眼のつけどころ」や「物の見方」は、多くの方々の影響を受けるとともに、大部分がスポーツ以外のことで培われてきました。学んで知り、経験を積んで知り、感性をもって知る、すなわち「学知・験知・霊知」の積み重ねでできた、「三知の智」であり、あくまでも私の私見であることを再度お断りし、今回のテーマの筆を置きます。

次回は【如月・雨水】、テーマは今回の続編とも言うべき、「視点・感点」です。


Vol.1 JUVY 創 設
Vol.2 理想の指導者とは
Vol.3 素晴らしき指導者
Vol.4 回顧・2005年
Vol.5 新春は箱根と共に
Vol.6 凛として颯爽と
Vol.7 眼のつけどころ
Vol.8 視点・感点
Vol.9 思い出に残る一言
Vol.10 新たなる旅立
Vol.11 JUVY誕生
Vol.12 春のスポーツシーズン到来
Vol.13 指導者としての実践力とは
Vol.14 ジュニアとシニア・その1
Vol.15 ジュニアとシニア・その2
Vol.16 わたしなりに言いたいことを…
Vol.17 「眼に見えない力」
Vol.18 「朱夏の熱き闘い・インターハイ その1」
Vol.19 「朱夏の熱き闘い・インターハイ その2」
Vol.20 「トーナメント・有限と無限の交差点」
Vol.21 「定石とひらめき」
Vol.22「合同練習会」
Vol.23「国民体育大会」
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