Vol.25(2006.11.8.)
【霜月・立冬】 「再興」
 

 
「人間という容器の中に水がいっぱいに入っていないうちはどんどん水を注ぐことができるが、いっぱいになっている人間という容器に水を注ぐためには水を捨てなければならない。」


 国体も終わり、次年度以降の事を考える季節になってきました。
 JUVY T.C.としても、そろそろ水の入れ替えをする時期にさしかかってきたかな、と思われる状況が見られます。
 日本選手権リレーや関東高校選抜新人大会でそのようなことを感じました。
 
 
 トレーニング方法の工夫が競技スポーツの発展に寄与してきたことは否めません。
 しかし、一個人でトレーニング方法を工夫し、全てに効果ある内容で行い続けることはできません。また、トレーニングに革命的な方法もないようです。
「これはすごいやり方だ!」と思うようなことでも、地球上の誰かがやっていると思って間違いありません。
 
 私自身、12歳で陸上競技を始め、人から聞き、人に尋ね、文献をあさり、経験を重ね、トレーニング方法を模索しながら、40年以上すぎました。
 その間、出口が見えない、解決策が浮かばないことは多々ありました。普段は具体的なトレーニング手段がどんどん浮かぶのですが、全く浮かばなくなってしまうこともあるのです。それは指導者のスランプなのかもしれません。
 そんなときは、体内(主に脳内)にたまっているモノを捨てることで解決策とするよう努めてきました。


 ところが、これがなかなか捨てられないから困るのです。思い切って捨てるためにはどうしたらよいでしょうか。

 まずは、”本当に効果的なトレーニングかどうか”を検証すべきです。
 効果的と思ってやっていたが、実は同時に行っていた別のやり方が有効であったため、結果的に成功していた、というようなことはよくあることです。
 有効でないものを、いつまでも続けるわけにはいきません。有効でないなら簡単に捨て去ることはできます。
 

 問題は、確かに有効と検証されているようなことを秘密にしておきたい心境です。

 このことは企業秘密をライバルにばらすことになるわけですから、内心穏やかではありません。しかし、公開しないでいれば、自分のしていることに自惚れが生じ、やっていることにも濁りが生じるようです。指導者の自惚れや、練習のマンネリ化が、選手に良い影響を与えるわけがありません。
 同じ方法が永遠に効果を発揮し続けるものとは考えられません。


 指導者は常に進化する努力をしなければならないのです。
 


 スポーツ界には素晴らしい実績を残している指導者はたくさんいます。
 「スプリンターの育成にかけてはあの人しかいない!」と言われている指導者も頭に浮かびます。そのような方々に共通していることは、一流選手であったことと比較的自由に指導に取り組める環境の中にいる、ということです。
 
 それに比べ、私は一流競技者ではありませんでした。また、だいぶ違う指導方法をとっています。
 そのやり方は、(基本的にはJUVY内での活動であることは勿論ですが)所属先にとらわれないフリーの立場でスポーツ指導をしていることであり、その思いも、恵まれた環境の中で活躍する指導者と堂々と勝負をする、というものです。
 
 そのような状況の中、このたび我々の組織としては、頑張りすぎているかな?と思えるような企画を立案し、準備中です。
 
 本題に入る前に、今回の企画の目玉となっていただく、青戸慎司について書いておかなければなりません。
 青戸は一流選手でありました。しかし、現在の職場環境を考えると、指導者としては極めて厳しい環境にあると思われます。
 それにもかかわらず、子どもたちに夢を与えるため、全国各地を精力的に廻っています。このことは、彼のキャリア、高い才能、人間的魅力などがあるからこそ可能にする業で、全国各地から指導依頼が引きも切らない理由なのです。
 もちろん、依頼された指導だけではなく、青戸には中京大中京高校陸上競技部コーチ、フィギュアスケーターのA選手のフィジカルコーチ、さかえクリニック陸上部ヘッドコーチなどの指導も定期的に行いない、成果を上げているのはご存じの通りです。



 本題です。
 05年から活動を始めた「佐野SAC Circle−JUVY8」では、今年はクラブ員以外に募集を呼びかけた初の講習会を開催します。
 その内容は、青戸慎司の「キッズ・スプリント・スクール」と奥澤康夫と青戸の「スプリント・クリニック&コンファレンス」、そして奥澤美佳の「ストレッチ・クリニック」です。いままでサークル内で行って好評だったものを、公式に公開することにしたのです。 
 
 「キッズ・スプリント・スクール」はJUVY設立当初から行ってきた事業で、現在5歳から11歳までの子どもたちが、月に1度、将来を考えた望ましいスポーツ活動を展開しています。
 今回は文部科学省から委託された「スポーツ選手ふれあい指導事業」として青戸を講師にむかえて開催することになりました。
 
 「スプリント・クリニック」は25年来の親交を持つ青戸と奥澤のコンビで「速く走る」をテーマにスプリント向上のための具体的トレーニング手段やコツを伝授します。
 
 「スプリント・コンファレンス」はスプリント・クリニックに参加していた方々と講義や実技の内容を更に深化するためにフリーディスカッションを行います。
 
 「ストレッチ・クリニック」は奥澤美佳がクラシックバレエを極めたいという思いの中で獲得した、柔軟性の必要性とどのスポーツにも応用できるストレッチ法を伝授します。
 
 今回のような有料行事は責任もあり、本当に大事業となりますが、フリーの3人なら物事にとらわれず開催することが可能であり、大きな効果をあげるられるものと信じています。
 

 「新しい水を入れるために、まずは容器から水を出す必要がある」 と、冒頭で述べました。
 「再興」とは、あくまでも自分たちのレベルアップのためのものです。
 今まで作りだしたもの、今持っているもの、今やっていることを秘密にせずに発表してみるつもりです。
 そして、一度自分たちを空(くう)にしてみたいと考えています。
 
 空(くう)になることができれば、多くの方々と氣を通じ、五感を通じて確かめ合えるよう努力してまいりたいと思います。

 11月25日(土)午前9時、佐野市運動公園陸上競技場でお会いしましよう。

 11月25日(土)〜26日(日)は、”スポーツマンの収穫祭と種蒔祭”を同時に開催するイメージで行います。


            
Vol.1 JUVY 創 設
Vol.2 理想の指導者とは
Vol.3 素晴らしき指導者
Vol.4 回顧・2005年
Vol.5 新春は箱根と共に
Vol.6 凛として颯爽と
Vol.7 眼のつけどころ
Vol.8 視点・感点
Vol.9 思い出に残る一言
Vol.10 新たなる旅立
Vol.11 JUVY誕生
Vol.12 春のスポーツシーズン到来
Vol.13 指導者としての実践力とは
Vol.14 ジュニアとシニア・その1
Vol.15 ジュニアとシニア・その2
Vol.16 わたしなりに言いたいことを…
Vol.17 「眼に見えない力」
Vol.18 「朱夏の熱き闘い・インターハイ その1」
Vol.19 「朱夏の熱き闘い・インターハイ その2」
Vol.20 「トーナメント・有限と無限の交差点」
Vol.21 「定石とひらめき」
Vol.22「合同練習会」
Vol.23「国民体育大会」
Vol.24「心・技・体」
Vol.25「再興」

Circle-JUVY General Manager OKUZAWA Yasuo

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