Vol.2 (2005.11.23)
【霜月・小雪】 理 想 の 指 導 者 と は

今日まで30年以上、私なりによりよい指導法を目指すとともに、理想の指導者像を探ってきました。しかし、今、「あなたの指導法で子どもたちにどんな影響を与えられるのですか」などといった現実を突きつけられると反論できないかもしれません。

小説・宮本武蔵(吉川英治)の中に「我以外、皆我師」という言葉がありますが、私の指導者人生も多くの方々の援助をいただいて形づくられてきたものと感謝しています。勿論、出会ったことのない、歴史上の人物も生き方をイメージする上で大変重要な師となってきたようです。

さて、JUVYには3歳から84歳までの会員がおります。指導法については、その時々の状況により「Teaching」の考えで教えていくか「Coaching」の考えで援助していくか選択していますが、ここでは子どもたちに「教える」という総論的な感覚で理想の指導者像を探っていきたいと思います。

私の指導理念は「子どもたちが持つ才能を高めてやるとともに、その能力を発揮できるよう協力すること」です。私たちは、「与えてもらった意欲は早く消え、教わっただけの知識は早く忘れる」ことを体験的に知っています。従って、子どもたちが、自らの意志で意欲的に行動し、知的好奇心や探求心の解決に向かって生きて行けるようにすること、すなわち自主独立の精神の涵養を指導理念の根底におく必要がありそうです。

それでは理想の指導者に近づくために、どのようなことを考え、実践していかなければならないのでしょうか。そんな時、私は金子明友先生のお言葉を思い出します。それは、「子どもたちを指導するにあたって指導者がトレーニングを積むことが大切である。指導者のトレーニングと言っても、指導者が選手と共に汗を流し練習することではない。指導者は対象者となる子どもたちへの『観察力』『内観力』『共感力』を常日頃から訓練し、効果的指導に役立てる必要がある」という内容であったと記憶しています。

ところで最近、陸上競技を見ていると気になることがあります。それは競技力向上に直接係わっている指導者が、競技力向上に係わる指導者としての責任を全うしていないのではないか、と見える点です。また、競技力を高めるには、「好きだ・楽しい」だけでは無理だということに気づいていない方もいるようです。つまり指導者としての訓練を積極的にしていないのではないかと感じるわけです。

訓練された指導者は、見逃されそうなミスを見破り、そのミスに対して原因を瞬時に分析し、対応できます。またミスも事前に予想し、対策もぬかりありません。そのような指導者は、目標に迫り得る指導が出来る方であり、競技力向上で言えば「勝つコツ」を知っている指導者です。

当たり前の話ですが、そんなことは「好きで楽しいから」だけではできないものです。陸上競技のグラゥンドは野球のベンチではありません。コーチはオーナーでもありません。イスに座ってサインで選手が動くとでも思っているのでしょうか。野球は長時間の練習中、監督・コーチの動きは休まるところを知らないのが普通なのですが・・・・。

私が最近、身近で見る陸上競技からは、監督・コーチからのエネルギーが感じられないのです。1日中でもグラゥンドに立っていられる集中力や忍耐力も指導者としては必要なことなのです。繰り返し申し上げますが、そのようなことが気になって仕方がないのです。

理想の指導者になるために、金子先生の「三つの力」を身に付けるために、私は人としての総合力を高めるための努力を惜しまないよう精進する必要があると考えています。総合力の高いエキスパートナーこそ、私の理想の指導者です。そのような力を身に付けた指導者こそ対象者との信頼関係を生むのです。

無限に得られるであろう「学んで得る知智」「経験を積んで得る知智」「研ぎ澄まされた感性から生じる知智」を集積し、機に応じ、勇気を持って、効果的なアドバイスできる指導者になりたいものです。

次回は【師走・大雪】、テーマは「素晴らしき指導者」です。

Vol.1 JUVY 創 設
Vol.2 理想の指導者とは
Vol.3 素晴らしき指導者
Vol.4 回顧・2005年
Vol.5 新春は箱根と共に
Vol.6 凛として颯爽と
Vol.7 眼のつけどころ
Vol.8 視点・感点
Vol.9 思い出に残る一言
Vol.10 新たなる旅立
Vol.11 JUVY誕生
Vol.12 春のスポーツシーズン到来
Vol.13 指導者としての実践力とは
Vol.14 ジュニアとシニア・その1
Vol.15 ジュニアとシニア・その2
Vol.16 わたしなりに言いたいことを…
Vol.17 「眼に見えない力」
Vol.18 「朱夏の熱き闘い・インターハイ その1」
Vol.19 「朱夏の熱き闘い・インターハイ その2」
Vol.20 「トーナメント・有限と無限の交差点」
Vol.21 「定石とひらめき」
Vol.22「合同練習会」
Vol.23「国民体育大会」
Circle-JUVY General Manager OKUZAWA Yasuo